30分で出来るハースストーン実況解説 -実況編-

[はじめに]

国内大会が増え、活発に大会における戦略やデッキガイドが投稿されているが、実況解説に関する記事は皆無であり、ほぼ手探りの状況で実況解説が行われているのが実情である。ノウハウを身につけるには数をこなす必要があり、実況解説の分野で人材が不足している。

今回は、「今度大会開催することになったけど実況解説が不安」、「やってみたいけどどうすればいいのか分からない」といった人に向けて、国内大会やAPAC予選の実況解説を経験して得られた知識やノウハウを元に記事を作成する。

なお、実況と解説の役割は全く別のものであるため、2編に分けて記事を作成する。それぞれ何が求められているのかは本文中で説明する。

 

[その1 喋るな]

まず、自分の実況を聞く相手を認識しよう。それは決して解説の相方ではないはずだ。実況は配信等を通じて、大会を観戦している観客に向けて行うものである。気心の知れた相方との”掛け合い”は聞いていて心地よいが、”会話”は求められているものではない。

なにも「声を張れ」、「叫べ!」と言うわけではない。”語りかける”ことだ。気楽に会話している声と人に何かを伝えようと語りかけている声は、明らかに質が違い、聞きやすさが段違いだ。”会話”は楽だが、緊張感を薄れさせてしまい、聞き手をしらけさせてしまう。そして一度薄れた緊張感を取り戻すのには体力と気合が必要だ。

落ち着いたトーンでいい。無理にテンションを上げなくていい。マイクの先にいる、試合を見ている人をイメージして喋るだけであなたの声は劇的に魅力的に変わる。

 

[その2 ゴリラになれ]

ハースストーンの実況に求められているのはマッチアップの有利不利の情報でもリーサルパズルの回答でもない。ただただ、目の前のゲーム展開を言語化することだ。さらに言えば、ゲーム展開を理解できなくても良い。

実況者は観客に最も近い存在であり、一緒に驚き、楽しむことで感動を共有する感情のハブとなるべき存在だ。素直に感情を出していい。実況者、ゴリラであれ。わからないことは人間(解説)に聞こう。

 

[その3 お主(解説)に敬意を]

実況は解説と対等に話をしない。必ずリスペクトを示す。具体的にどういう事かというと、「解説の意見を誘導しない」、「声を被せない」、「否定しない」である。

解説者は自分の知識と経験を提供してくれるありがたい存在であり、それが存在理由である。実況者がマッチアップや試合展開の解説の領域に踏み入ってしまうと解説者の立場がなくなる。何のために複数人で実況解説にあたっているかを考え、敬意を示し、信頼し、ハッキリと分業しよう。間違っていると感じたり、わからないことは素直に「○○なのは何故ですか?」と質問しよう。

決して「解説の方が実況よりも立場的に上だ」と言っているわけではない。解説は選手のプレイングがいかに素晴らしいかを(時にはミスプレイを含め)指摘する。解説が「えらい人」でなければ選手が「すごい人」になれないのだ。あなたが敬意を示すことで、大会の質が向上する。

 

[その4 手は膝の上]

観戦モードでの実況時の話になるのだが、必要以上にマウスを動かさないこと。カードの説明はいちいちマウスカーソルを合わさずとも口頭で十分である。実況がマウスを動かすと選手のマウスの動きが見えなくなり、思考が可視化される数少ない機会を潰すことになる。また、あっちこっちに飛ぶマウスは単純に目障りで試合への集中を削いでしまう。手持ち無沙汰で落ち着かないというのであれば、ペンを片手にメモでもとっておこう。

 

[その5 川の流れのように]

筆者は《手動操縦のシュレッダー》がずっとうまく言えなかった。ほぼ毎回《手動しょうじゅうのシュレッダー》と言ってしまっていた。最初はなるべく言い直していたが、そのうち噛んでも気にしないことにした。

噛んだセリフの言い直しは単なる照れ隠しであり、視聴者に必要な情報はもう既に(ほぼ)伝わっている。自分の完璧な《手動操縦のシュレッダー》の発音は、ただ実況解説のテンポを崩して集中力を削ぐ原因になっていることに気付いた。済んだことは水に流して、次に進め。もっと話したいことがあるはずだ。

 

[その6 反省する]

すべてが済んだ後で、自分の実況は必ず見返そう。噛んだ言葉や不適切な表現(殺す、死ぬなど)は必ずメモし、次の機会までに改善しよう。声量や話すスピードは熱くなって実況している時には気付けない。自分がついつい言っている口癖も見えてくるはずだ。筆者は事あるごとに「さぁ!」と言っていた。見返すまで自覚はなかった。何気なく口にする言葉が耳についてクドいかどうかは、言ってる本人にはわからないものである。

また、見なおしていて「ここは(解説に)こう返せばよかった」、「もっと別の言葉で説明できた」など、新しいフレーズが湧いてきたらメモしておこう。それはあなたのネタ帳になり、個性になり、あなたの実況が好かれる一助になる。

人に見てもらうのも非常に効果的である。筆者は長い期間での大会の実況を務めていた際、毎回親しい人からフィードバックをもらっていた。ミスを指摘してもらえるだけではなく、「ココがよかった!」と言って貰えることが何よりのモチベーションになった。

 

[まとめ]

実況は視聴者に寄り添い、感情を共有するための窓口になる。解説と2人だけの世界を作らない。知識が必要なことやわからないことは無理せずに解説に任せる。終わったらちゃんと反省回をする。

これさえ出来ればあなたも今日から立派な実況のひとです。

 

[おわりに]

偉そうな書き方になってしまいましたが、ほぼ自分の実体験から学んだ出来事なので間違ったことは書いていないはずです。実況は賑やかしてナンボなので臆せずに観客を代表して試合を楽しむことが一番です。

あらためて読み返してみてもニッチな人向けの記事でどこに需要があるのか謎ですが、これを読んで「実況簡単そうじゃ~ん」と興味を持っていただけたら嬉しいです。

解説編は来週中には書き上げたいと思います。よければそちらもよろしくお願いします。

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